この記事は2019年10月23日に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。
また台風が発生してる。洪水怖いよね。この機会にお住まいの地域のハザードマップを再確認しましょう
先日の台風19号は、東日本を中心に甚大な被害をもたらし、多くの人命を奪いました。被災された皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
今回の台風19号では、特に河川の氾濫による被害が大きかったですね。報道される映像を見て、「これはかわいそう」「お気の毒に」と思われた方も多いことでしょう。
しかし、これは決して対岸の火事ではなく、明日は我が身の可能性もあることを、しっかりと肝に銘じておかなければなりません。実際に丸亀市内でも、西汐入川ではこの15年間に4度も氾濫による浸水被害が出ています。
西汐入川の例
西汐入川は丸亀市街地西部を流れる二級河川です。主な氾濫地域は、津森町、今津町、天満町、前塩屋町です。
氾濫時の様子
平成23年9月の台風12号で西汐入川が氾濫した時の県道21号詫間豊浜線の「ローソン丸亀今津町店」付近の様子がこちら。↓
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平成23年9月
平常時はこんな感じです。↓
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令和元年10月
同じく平成23年9月台風12号時の「JA香川県丸亀北支店」付近がこちら。↓
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平成23年9月
平常時はこんな感じ。現在は「まるいち」のうどん屋があった場所に「ローソン丸亀津森町宮浦店」ができています。
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令和元年10月
平成23年9月台風12号時の「正宗寺」南側の西汐入川がこちら。↓
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平成23年9月
平常時はこんな感じです。↓
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令和元年10月
ここは平成23年の氾濫があった後に、ちょっとした堤防ができました。
平成29年の台風18号による氾濫は、私は撮影していませんが、YouTubeに動画をアップされている方がいましたので紹介させていただきます。撮影場所は明記されていませんが、「ローソン丸亀今津町店」のすぐ南側だと思います。
住宅の浸水被害状況
平成16年(台風16号) | 床上13戸、床下71戸 |
---|---|
平成16年(台風23号) | 床下35戸 |
平成23年(台風12号) | 床下24戸 |
平成29年(台風18号) | 床上4戸、床下29戸 |
氾濫の原因は宅地開発?
ではなぜ、これまで氾濫しなかった場所が、近年になって急に溢れるようになったのでしょうか?
県や市の担当部署をはじめ、地元にお住まいの皆さんに聞いたところ、様々な要因が絡み合っているそうですが、最大の要因は流域の水田を商業地や宅地として開発したことで、水田の持つダム機能が失われ、川に流れ込む雨水の量が増えたことにあるようです。
”あぜ”により雨水を一時的に貯えることができます。このため、雨水の急激な流出が防止され、下流での洪水や周辺での浸水が防止・軽減されるという機能があります。また、畑にも、雨水を一時的に貯えることで、洪水を防止する機能があります。近年の耕作放棄地の増加や宅地化の進行によりこの機能は減少してきています。
引用:かがわの農業 農村 整備
丸亀市でも、水田を宅地化する際には保水力を維持するために貯水タンクの設置を促進しているそうですが、実際に設置している家はそんなに見かけませんので、確実に保水力は低下しているのでしょう。(大規模施設は貯水タンクの設置が義務付けられていて、実際に「ゆめタウン丸亀」では2000トン規模の巨大な貯水タンクを設置しているそうです。)
こうした問題に対して県や市では、堤防の嵩上げ、川底のゴミや泥の撤去、排水ポンプの設置などの対応を急いでいます。
2019年夏に堤防が嵩上げされた西汐入川の支流(津森町)。↑↑↑
2019年夏に設置されたポンプ(天満町)。↑↑↑
また、あまり知られていませんが、丸亀市では雨水の貯水タンク設置に対して補助金を出しています。(→詳しくは、丸亀市公式サイトの雨水貯留施設等設置補助金のページをご確認ください。)
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丸亀市公式サイトより
基本は、ヤバくなったら避難所に「逃げるが勝ち」
このようにハード面の強化で防災に取り組む一方で、治水対策については「施設の能力には限界があり、施設では防ぎきれない大洪水は必ず発生するもの」という基本理念を、平成27年に国土交通省の社会資本整備審議会が打ち出しました。
つまり、「我々の想像を超える災害は100%起こるものだから、死にたくなかったらさっさと避難しましょう」ということですね。最近のTVの災害報道で「命を守る行動をとってください」とやたら連呼しているのは、この考えに則したものです。香川県でもこの理念に基づいた防災対策が進められていて、自然災害による被害を予測し、その被害範囲を地図化したハザードマップを各市町で作成しています。
災害の少ない香川県に暮らす者としては、どうしても災害に対する危機管理意識が薄い面が否めません。ですが、先の台風19号の災害や、頻繁に溢れている西汐入川のことも考えると、慢心こそが最大の敵だと思われます。実際、金倉川では平成28年以降の水害で12箇所の護岸が壊れていることや、土器川でも中方橋が平成27年の台風11号で被災して未だに復旧工事が終わっていない状態であることなどからも分かるように、大災害一歩手前くらいの水害は近年頻繁に発生しているのです。
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国土交通省四国地方整備局公式サイトより
上記の国土交通省が出している洪水浸水想定区域図を見ていただいても分かるように、土器川が氾濫したら、すぐ側の丸亀市やまんのう町、宇多津町、琴平町のみならず、坂出市、多度津町、善通寺市にまで浸水被害が出る予測もなされています。
そこで知っておいてもらいたいのが、先に触れたハザードマップです。ハザードマップには、想定被害範囲のほか、避難所の位置などの防災情報が詳しく記載されていますので、確認しておいて損はないですし、いざという時には迷わず避難することができます。ハザードマップは地震や津波や土砂災害など、災害ごとに各種存在しますが、今回は洪水を中心とする水害についてのハザードマップを紹介します。
中讃各市町の洪水ハザードマップ
洪水ハザードマップには、河川の氾濫やため池の決壊などによる浸水想定地域や、避難勧告が出た際の避難場所などの情報が詳細に記載されています。万が一お住いの地域が被災した際に、どの道を通ってどこに避難すればよいかなど、あらかじめ調べておくことをお勧めします。自治体によっては、緊急時に持ち出すべきアイテムなどの防災豆知識が記載されているものもありますので、読み物として目を通しておくのもいいでしょう。
丸亀市
このマップは、土器川・金倉川・綾川・大束川の堤防が大雨によって壊れる場合と、堤防を越えて水があふれる場合の浸水範囲や水深などを予測して、避難所とあわせて示しています。
想定を超える降雨や内水などの影響で川が氾濫した場合は、考慮に含まれていませんので、地図に示す浸水範囲以外でも浸水が起きたり、実際の浸水の深さが異なったりする場合があります。引用:丸亀市公式サイト
坂出市
洪水ハザードマップは、県の作成した綾川(下流)浸水想定区域図、大束川浸水想定区域図、国の作成した土器川浸水想定区域図を基とし、指定避難場所、平成16年台風23号による被害箇所(小規模な河川や側溝等から水が溢れたことによる内水氾濫も含む)、県の作成した土砂災害危険箇所図、山地災害危険箇所等を示してあります。(平成25年12月に県により土砂災害警戒区域が指定されました。土砂災害警戒区域等はこちらをご覧ください。)
一度に多量の雨が降ったときや、長く雨が降り続いたときは、洪水や土砂災害に対して警戒を強め、特に土砂災害警戒区域内やその周辺に住んでいる方は、避難勧告が発令された時点では、既に一部道路が冠水し、歩くのが困難になっている可能性がありますので、早めの避難をお願いします。引用:坂出市公式サイト
善通寺市
善通寺市公式サイト→善通寺市防災ポータル→善通寺市ハザードマップ→善通寺市洪水・土砂災害ハザードマップ(地図面・市内全域)(地区別のハザードマップもpdfファイルで用意されています)
ハザードマップとは、自然災害による被害を予測し、その予測範囲を地図に示したものです。
善通寺市では、平成29年3月に、洪水と土砂災害を対象とするハザードマップを更新しました。このハザードマップは、地図面と啓発面の2面から構成されており、地図面には災害時の危険箇所や避難所等を、啓発面には災害に関して知っておくと便利な情報を記載しています。引用:善通寺市公式サイト
宇多津町
宇多津町公式サイト→防災・ハザードマップ→大束川洪水・土砂災害ハザードマップ(土器川水系の洪水ハザードマップもpdfファイルで用意されています)
今後、宇多津町で発生が予想される地震・津波災害や、大雨による洪水・土砂災害、台風などによる高潮災害の被害想定に加え、町民の皆さんの迅速な避難行動や被害軽減の一助となる情報を掲載しています。
各種災害に関する正しい知識や、お住まいの地域の特性による危険性を再確認いただき、家庭や職場、地域での防災活動や防災対策にご活用ください。引用:宇多津町公式サイト
綾川町
綾川町はため池の決壊にも注意が必要ですので、綾川町ため池ハザードマップもあわせてご確認ください(地区別、池別にpdfファイルが用意されています)。
多度津町
琴平町
琴平町公式サイト→防災情報→琴平町洪水ハザードマップ(pdfファイルが強制的にダウンロードされます)
このマップは、大雨によって金倉川・土器川の堤防がこわれたり、堤防を越えて水があふれた場合に予測される浸水範囲と水深、指定避難所等を示したものです。いざというときに備え、日頃から大雨による浸水の恐れのある場所などを理解しておき、あなたの家から指定避難所等までの経路、家族の連絡先の確認をしておきましょう。
引用:琴平町公式サイト
まんのう町
まんのう町公式サイト→防災→防災のしおり(保存版)地図その1・防災のしおり(保存版)地図その2(地域別のpdfファイルが用意されています)
まんのう町はため池の決壊にも注意が必要ですので、まんのう町ため池ハザードマップもあわせてご確認ください(池別にpdfファイルが用意されています)。
まとめ
私も子どもの頃から丸亀に住んでいますが、まさか西汐入川が溢れるなんて思ってもいませんでした。それが平成16年、23年に溢れ、その後色々と対策しても平成29年にまた溢れましたから、いずれまた溢れるものと思っておいた方が良さそうです。とは言え、普通に生活していたらすぐ忘れますので、いざという時に慌てず対応できるように、ハザードマップを確認するなどの準備だけはしておこうと思います。