この記事は2020年1月23日に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。
土器川下流域で大規模な工事をやってる。災害に備えて川の流れをまっすぐにする工事みたい
最近、土器川に架かる蓬莱橋(「一鶴 土器川店」の前の橋)を渡っていると、重機が河川敷で土を掘っている光景をよく目にしますね。
また、土器川東岸の道路を走っていると、川沿いにあった建物の多くが立ち退いていることに驚かれた方も多いのでは。
そんな折、まるつー伝言板にもこんなコメントがありました。
土器川下流の堤防の引き堤工事始まったみたい。木杭を打ってました。
潮止め水門の新設も同じく始まったみたいですね。ID: 2j8m9a4jSI [2019-11-29 12:03]
このように、早くからこの工事の内容が気になっていた方も多いと思いますが、何しろ広範囲にわたる工事ですので、まとめるのに時間がかかってしまいました。
それでは、少し長くなりますが、土器川でやってる「あの工事」の内容を解説いたします。
工事の概要
まずは工事の概要から。
現在、土器川の下流域では、河道掘削工事、引堤工事、潮止堰更新工事の、大きく分けて3つの工事をしています。工事は3つですが、目的は1つ。川の流れをなるべく真っ直ぐにして、氾濫を防ぐことなのだそうです。
ピンクの点で囲まれているのが蓬莱橋付近です。年を追うごとに、川の流れが西寄り(画像だと下)に偏ってきているのがお分かりになるでしょう。こうなってくると、雨が降らない時は水が流れないため土砂の堆積がますます進行する一方で、ひとたび大雨が降ると、川幅が狭いところに一気に水が流れ込むため激流化して、堤防を決壊させるおそれもあります。
同じ地点の、水深を表す図表です。どんどん川底が浅くなっているのが分かります。川底が浅くなると、当然氾濫の危険性が高まります。
そこで!
地図上の「このへん」に溜まった土をごっそり削り取り、川筋を直線に近づけることで、川の流れをスムーズにちゃいましょうという「河道掘削工事」が、今回の中核を占める工事です。
それに合わせて、頼りない堤防を分厚くしちゃいましょうという「引堤工事」、古くなった潮止堰を新しくしちゃいましょうという「潮止堰更新工事」も、同時進行で行われています。
それでは、3つの工事について、それぞれ簡単に説明していきます。
河道掘削工事
川の底に溜まった土を掘り出して、川の流れを良くする工事です。
2019年12月の様子
最終的には、この溝辺りまで川底の土を削るそうです。
2020年1月の様子
だいぶ手前(東)側まで掘削が進んでいますね。
なお、工期は2020年の1月末までとのことですが、進捗状況によっては3月末あたりまで延期することもあるそうです。
掘った土はどこへ?
実は、再び土器川上流に運ばれていました。下流に「土が溜まってヤバい」場所があるなら、上流には「土が削れてヤバい」場所があるのです。
まんのう町は満濃大橋上流の河川敷に、何やら土が敷き詰められている場所が。
近寄ってみると、下流で掘り出した土が台地状に盛られていました。
満濃大橋は、平成16年10月の洪水などで橋脚の根元がごっそり削られていて、今後橋脚の護床補強工事が行われますので、そこでこの土が使われるのかも知れませんね。
ちなみにここは、デカい干支が現れることでおなじみの「大宮神社」のすぐ近くです。
2020年の「大宮神社」の大ネズミの記事はこちらから。↓↓↓
まんのう町の「大宮神社」にリアルな干支がいると聞いて見に行ってきた
環境にも配慮
今回の掘削域には、もともとヨシ原がありましたが、環境保全のために掘削しない場所の移植を行ったそうです。
こちらが移植したヨシ原の様子です。周辺では水鳥も泳いでいました。
河道掘削工事の場所は地図だとこの辺り。↓↓↓
引堤工事
続いて引堤工事について。こちらは、堤防(道路)を東側に拡張・移動させる工事です。
この「信長書店 丸亀店」前の片側1車線から車線がなくなる辺りの堤防(道路)が、旧国道まで全部片側1車線に広がるそうです。
上の画像に手書きで車線を引いただけですが、イメージとしてはこんな感じです。車線を引いただけで、堤防自体はもう少し東寄りの、土手の下に土を盛っている場所あたりまで広がるそうですよ。
現地に貼ってあった概要図によると、現在5mの道幅が11mに広がるみたいです。
この辺りの堤防(道路)も右側(東)に広がります。線は引きませんので、脳内で想像してください(笑)
土手の下にあった建物は既に立ち退いています。奥に見える「ふたば乳児保育園」も、ここから割と近い場所に移転される予定だそうです。
北側からみたらこんな感じ。この画像だと、左側に堤防(道路)を広げます。
「ホテルニューキャッスル」跡地や「セブンイレブン丸亀土器町東7丁目店」跡地付近から見たところ。正面に見える「ふたば乳児保育園」が移転したのち、堤防(道路)を左手側に寄せるそうです。この写真を撮るために立っている辺りが交差点になる感じでしょうか。
旧「ホテルニューキャッスル」の裏側。この辺りも堤防(道路)化するため、近隣の建物はだいたい立ち退いています。「ホテルニューキャッスル」は随分前に閉業していますが、何故かサイトはまだ残っています(2020年1月現在)ので、懐かしく振り返りたい人はこちらから。
引堤工事の工期は2月末までの予定だそうですが、進捗状況によっては4月以降に延びるかも知れません。
また、実際に堤防を広げる工事に入ると、なるべくは夜間の通行に支障がない時間帯に工事をするとの話でしたが、場合によっては片側交互通行などの交通規制が入る可能性もあるそうです。その際は、市報などで事前に広報するとのことでした。
引堤工事の場所は、地図だとこの辺り。↓↓↓
潮止堰更新工事
3つ目の潮止堰更新工事は、老朽化したゴム製の潮止堰を、ステンレス鋼製の新品に取り替える工事です。
潮止堰は東西2つに分かれていますが、潮止堰の機能を確保しながらの工事となるので、一度には交換できません。そのため、まずは片方(西側)から交換するそうです。
潮止堰とは?
土器川潮止堰は、海水の逆流防止のために作られた堰(河川の流れを調節する施設)です。現在の潮止堰はゴム製で、高さ2.8m、長さ80m、厚さ4mmです。完成したのは昭和54年だそうです。
普段はゴム製の堰を空気で膨らませ、上流に海水が逆流しないようにしていますが、大雨が降り洪水のおそれがある時には、堰の空気を抜いて下流へ水を流します。
ゴム製の潮止堰ですので、これまでは穴が空くたびに自転車のパンクを直すような方法でちょっとずつ修繕しながら使用してきましたが、完成から40年経っているために老朽化が著しく、修繕でどうにかなる程度を越えてきたそうです。
こんな感じで、結構ボロボロになってたんですね。
2019年12月の様子
先に交換する西側の潮止堰周辺を土のうで囲み、流れを堰き止めていました。
2020年1月の様子
西側の潮止堰は空気を抜かれてペシャンコになっていました。あとは取り外してステンレス鋼製の潮止堰に交換するだけです。
新しい潮止堰は、従来のものとは似ても似つかない形状なので、最初に見た時はビックリするかも知れませんね。
どんな潮止堰ができる?
どんな潮止堰になるのかを国土交通省四国地方整備局に問い合わせたところ、昨年末に製作中の新しい潮止堰の見学会が奈良県であったそうで、その時の画像を提供していただけました。
おおっ!銀の壁やん!!
従来のものより「いかにも潮止堰!」という感じではありますが、見慣れたゴムチューブでないので違和感は否めませんね(笑)
ゴム堰では、大雨になるといちいち空気を抜いて水を流していましたが、このステンレス製の潮止堰はパタンと倒すだけなので、工程的にも簡略化できるそうです。もちろん、パンクすることもないので、維持管理も楽になります。
潮止堰更新工事の工期は令和3年5月末までとのことですので、この2枚のステンレス鋼製潮止堰が土器川でフル稼働するのは、もう少し先になるようです。
潮止堰の工事場所は地図だとこの辺り。↓↓↓
その後の工事は?
これら3工事が終わると、次は蓬莱橋の改築工事に入るそうです。
その時は、また記事にして報告したいと思います!
蓬莱橋の工事場所は、地図だとこの辺りです。↓↓↓