この記事は2018年11月7日に書かれたもので、内容が古い可能性がありますのでご注意ください。
【殺処分】香川県は全国1位・中讃地区は香川県最多
みなさん、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。香川県が全国1位のものといえば「うどん」の消費量が有名ですが、それ以外に悲しい全国1位がありました。
香川県のイヌ殺処分は全国最多、その中で中讃地区は香川県最多という事です。
これは本当に切実な問題であるので是非みなさんと情報の共有と共通の認識ができればと思い記事を作成しています。特にお伝えしたい事は当記事真ん中辺りにあります。
迷い犬情報の投稿がきっかけで取材
【迷い犬・丸亀市垂水町】白いワンちゃんで赤の首輪をしています。耳だけ茶色っぽいです。スーパーなどで迷い犬のチラシ貼ってたよ。等、何か情報があれば連絡をお願いいたします。※FB引用
ID: hwYIwYLKOq 2018-09-21 16:05
まるつー伝言板に「迷い犬」の情報が投稿されていましたが、他にもインターネット上にはたくさんの「迷い犬」情報があります。少しでも早く飼い主の元へ戻るよう多くの方がシェアをし協力されている中、まるごと・中讃つーしん。も何か役に立てないだろうかと考え、まずは迷い犬猫たちの情報を掲載する事から始めよう!と中讃保健所にお尋ねしました。
香川県公式WEBサイト内で、中讃保健所が保護している迷い犬・迷い猫の情報一覧を見ることができます。
情報はその都度更新されていて、常時何頭もの迷い犬が保護されている事がわかりました。
なんとか少しでも迷い犬猫を減らせないか、また、他に何か知るべき問題が無いか等、質問をまとめて詳しくお話を聞きに行って来ました。
保健所では、動物に関してどのような業務を行っていますか?
保健所では、次の業務を行っています。
- ペットに関する苦情相談
放し飼い・糞尿・鳴き声などによる被害で困っているという市民からの相談や苦情を受け付けるとともに、飼主に対して適宜 飼い方の指導等を行っています。 - 放浪犬の捕獲
犬は「狂犬病」という、人間が発症するとほぼ100%死亡する病気を媒介するため、放浪している犬は保護収容できることが法令で定められています。その為、「狂犬病予防法」及び「香川県動物の愛護及び管理に関する条例」に基づき、適宜 放浪犬の保護収容を行っています。 - 負傷動物の保護収容
公共の場所等で負傷していると通報のあった動物で、飼い主不明の場合に保護収容を行っています。 - 犬・猫の引き取り、譲渡
中讃保健所では 地域で活動する団体等の協力を得ながら、犬猫の譲渡事業(保健所が保護した犬猫を新しい飼い主さんに譲り渡す活動)への取組を行っています。 - 特定動物の飼養・保管許可
トラ・タカ・ワニ・マムシなど、人の生命・身体・財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定められた動物を「特定動物」といいます。
その、特定動物を飼養または保管する場合には、あらかじめ動物種・飼養施設ごとに、飼養施設の所在地を管轄する保健所に許可申請することが必要です。 - 動物取扱業登録
動物(実験動物・産業動物を除く哺乳類・鳥類・爬虫類)の販売・保管・貸出・訓練・展示・競りあっせん・譲受飼養を営利目的で業として行う場合は、営業を始めるに当たって、事業所の所在地を管轄する保健所で、登録を受ける必要があります。
保健所には、約何匹くらい犬・猫がいますか?
多い時には20頭以上もの犬・猫が保護収容されている時もあります。
地域的な割合としては他の地区に比べて中讃地区での保護が最も多く、場所は土器川河川敷での保護ケースが多いです。
引取り手がない場合はどうなりますか?
保護された動物たちはここで新たな飼い主を待つことになりますが、残念ながら無事に出られる犬猫は収容された数の3割程度です。
ペットを飼う家庭が増える一方で、保護される犬猫も増加し、収容しきれない犬猫は香川県動物愛護および管理に関する条例または狂犬病予防法により定められた収容期間を満たした後、最短4日~1週間程度で殺処分が行われているのが現状です。
残念ながら、野良犬として成犬になった場合には人に慣れるまでに相当な時間がかかります。
その為、譲渡は子犬・子猫がほとんどの割合を占めており、成犬は譲渡率が低いです。
保健所から引き取りたい場合の手順を教えてください。料金はかかりますか?
公式サイトに飼い主を探している犬・猫の情報を掲載しており、譲渡にかかる費用は無料です。
譲渡を受ける際に必ずマイクロチップの装着を義務付けていますので、登録手数料 1,000円を負担いただいています。
申込書に添付されている「振込用紙」を使用して、最寄りの郵便局でお振込いただきます。
「マイクロチップ」は、長さ8mm~12mm、直径2mm程度の円筒形で、アンテナとICを内蔵している「電子タグ」です。首のうしろのやわらかい皮膚に埋め込んだ後、登録申込用紙へ必要事項を記入し、専用封筒に入れて郵送していただきます。
「マイクロチップ」の中には、15桁の固有の数字がデータとして記憶されていて、「リーダー」と呼ばれる専用の読取機を使ってそのデータを読み取ることができます。
データベースに登録される情報
飼い主情報
- 氏名・フリガナ
- 住所
- 電話番号
- その他の緊急連絡先
- FAX番号
- Eメールアドレス
動物情報
- 名前
- 生年月
- 性別
- 動物種
- 犬・ねこの種類と毛色
登録された情報は、日本動物愛護協会・日本動物福祉協会・日本愛玩動物協会・日本獣医師会によって構成される「AIPO(動物ID普及推進会議)」のデータベースで管理され、動物病院や動物愛護センターから照会することができます。
犬や猫の処分数を少しでも減らしていくために私たちにできることはありますか?
飼い主さんの場合、一番大事なことは飼い犬猫を殺処分候補にしないことです。
- 捨てない
「ありえない!」と言われてしまいそうですが、実際に捨てる方もいらっしゃいます。
犬猫を飼うということは、同時に「命」という重い責任を負うことです。
大切な家族ですので最期のその時まで一緒にいてあげてください。 - 迷子にしない
外出時に必ずリードやハーネスを付け、猫は室内で飼って逃げないよう気をつけ、迷子札・犬鑑札・マイクロチップを付けて登録しましょう。 - しつけを怠らない
吠える・噛む などが近隣住民からのクレームでも多く、その結果引き取られる子が多いのも事実です。 - 繁殖制限
「かわいそう」「動物の本能を奪うのは人間のエゴ」という意見がありますが、繁殖制限しないと殺処分が減らないのが現実です。
もっとかわいそうな思いをする子を減らすために必ず繁殖制限も必要です。
無責任なエサやりをしない
一見、善意のように見える「野良犬に餌をあげる」という行為ですが、現実に目を向けると、善意という言葉では到底片付けられない、厄介なものが見えてきます。まず、餌を潤沢に得ることで余裕ができ生殖活動が盛んになります。犬の妊娠期間は2か月ほどなので、栄養状態が良ければ年に2回出産することになります。可哀想という気持ちだけで餌を与えつづけると、近隣や地域に迷惑を及ぼすほど数を増やしてしまいます。野良犬が集まりやすい環境を変えなければ、その場所で野良犬が繁殖し、野良犬がいなくなることはありません。
- かわいそう野良犬を見て何かしてあげたくなる
- 善意の餌やり餌を潤沢に得ることができる
- 生殖活動餌を潤沢に得ることで余裕ができた野良犬は生殖活動が盛んになる
- 妊娠・出産餌を潤沢に得ることで余裕ができた野良犬は生殖活動が盛んになり、栄養状態が良ければ年に2回程出産する
- 増える近隣や地域に迷惑を及ぼすほど数を増やしいく
- 捕獲狂犬病予防法により、放浪している犬は捕獲しなければならない
- 殺処分引き取り先や新しい飼い主が見つからなかった犬は殺処分される
- ※繰り返し殺処分されるのは可哀想、かわいそうな野良犬たちに何かしてあげたい
誕生した命はとても尊いですが、人間社会の中での野良犬の先を考えると、「無責任な餌やり」は負の連鎖を増長しているのではないでしょうか。
餌を与える優しさがあるのなら飼い主になって終生飼養しましょう。
傷ついた犬(猫)・野良犬を見つけた時にはどうしたらよいですか?
周囲に飼い主さんがいるか確認し、いなければ保健所に連絡してください。
犬が怯えて噛むことがあるので、つかんだり、追いつめることはやめましょう。
犬や猫が道路で死んでいたらどうすればよいですか?
道路によって管理者が異なりますので、それぞれの管理者に連絡してください。
土器川河川敷で捕獲用のおりが設置されているのをみました。土器川に野良犬が住み着いているのですか?
土器川河川敷には、野良犬にエサやりをしに来る人がいるため、野良犬にとって住みやすい環境にあります。
捕獲用のおりを設置していますが、ふたが開けられ逃がす妨害行為も起こっていますが、狂犬病予防法により放浪している犬は、捕獲しなければならないと定められています。
また、一度逃がしてしまうと学習するため、なかなか保護できなくなります。
大雨などで増水した場合には 逃げ場を失い流される事もあります。
かわいそうだからとエサを与えるだけでは、その場所で野良犬が繁殖し、結果的に、飼い主のいないかわいそうな子犬を増やしてしまうことになります。
エサをあげたり、おりを開け放ったりすることが将来の悲劇を生み出すことを分かってほしいです。
犬猫の年間収容数・殺処分数・譲渡数を教えてください。
H29年度3月末時点 | 香川県 |
---|---|
年間収容数 | (犬)2,467頭 (猫)1,065頭 |
返還・譲渡数 | (犬)726頭 (猫)401頭 |
殺処分数 | (犬)1,711頭 (猫)657頭 |
殺処分率 | (犬)69.3% (猫)61.7% |
犬殺処分8年連続全国ワースト1位
昨今の全国的なペットブームにより、犬や猫を飼う世帯が増えている一方、飼い主が飼えなくなったり、野良猫が子どもを産んだりすることで保健所が引き取る現状が今も続いています。
環境省が1日に発表したまとめによると、香川県で昨年度1年間に県内の保健所などに収容保護された犬のうち、引き取り手が見つからずに殺処分された犬は1,711頭にのぼったということです。
年々減少傾向にあり、前の年度に比べて164頭減りましたが、殺処分された犬の数は8年連続で香川県が全国でワースト1位となりました。
この記事を読んでいただき、どのように感じたでしょうか?
ペットブームの裏側に潜む暗い話ですが、決して目を背けてはいけない重大な問題であり、私たちひとりひとりが現実を直視し認識を共有し合い考える事で少しずつでも問題解決に導く事ができるのではないか。今回の取材で痛いほどに感じました。
無責任なエサやり行為により野良犬が繁殖した結果、地域では飼い主がはっきりしない野良犬がどんどん増加し、無知の代償を、犬や猫に押し付ける行為なのだという事です。どうしても殺処分ばかりが批判されがちですが、その原因と理由を作っているのが私たち人間である事を一人でも多くの方が知る事・教え合う事がまず第一歩なのではないでしょうか。
また、迷子予防や繁殖制限など、飼い主の側でできる実際的かつ効果的な方法はたくさんある事も分かりました。
犬の殺処分数を少しでも減らしたいと、香川県では来年3月に保健所などで引き取った犬や猫に必要な治療を施したうえで、他の飼い主に譲渡する「さぬき動物愛護センター」が、新たにオープンします。
今後この殺処分数をさらに減らし、限りなくゼロに近づけるため、私たちも一人ひとりが問題に取り組んでいくことが重要となってくるでしょう。