坂出市の林田町を散歩していると、なんとも歴史のありそうな建物を発見しました。
大衆館
「大衆」とくればお約束のようにラーメンとか食堂とかが続きますが、ここは「館」
このようなレトロ感や廃墟感のある建物でテンションがあがるのはワタクシだけじゃないはず。レトロ建築が大好物なので無意識に写真をパチリ(パチリって表現、現代でも通用するのか?)。「館」なのですでに一軒家という候補からは外れた建物ですね。
少し引いて全体を眺めてみると、う〜ん・・・ここだけ何十年か前にタイムスリップしたような出で立ちです。よくみると「大」の字が一部欠けてるように見えるんですが、これは経年劣化?まさか昔の「大」の漢字はこう書いてたのかなと勝手な想像をしてしまうほど異質な存在です。
周囲の壁にはシミがあったり植物が絡まったりと廃墟感を醸し出してますね。ちなみに周りには新築の家も建っている場所なのでここだけ異世界のようで、昔読んだ「漂流教室」を思い出しました。
さて問題、この建物なんだと思います?
大きなヒントこの小さい穴。大人の手がギリギリはいるくらいの料金所でしょうか。
少し引くと上には看板があったような跡がありますね。 たぶん料金所だと思いますけどまさか木戸銭?そこまで古くはないですね(笑)
ここは今で言うチケット売り場のようですね。何の建物かわかりましたか?
何かを繰り返し貼られた跡がたくさん残ってますね。ここまででわかった方もいるんじゃないでしょうか。
当時のままで残された映画館です。
建物に比べて扉は年代が新しい感じがしますね。よく見ると右側の蝶番は錆びてないですが、左側は錆びてるので、取り換えた時期が違うのかも。
よく見ると鍵がかかっていない・・・ようでちゃんと内側から止められてるようでした。ホッとしたようで残念な複雑な気持ちになりました(笑)
正面の扉には1センチほどの隙間があり、奥の窓から光が入りうっすらと内部がみえますね。外観はしっかりとしたつくりですが、内部は当時のままのなのか木造でだいぶ傷んでいるようです。一番奥に窓がみえるので、スクリーンは左右どちらかにあったのかな?
屋根の下の外壁に換気扇がついていたような穴が空いてます。当時は館内で煙草も吸えたと思うので換気が必要だったのかも。
車が入れるようなシャッターの錆びたガレージがありますが、まさか当時からドライブインシアターをやってたんでしょうか(笑)
入り口にくらべて結構奥行きがあるので、推定ですが200~300人くらいは入れたのではないでしょうか?
1950年代~60年代の映画黄金期とよばれた頃には坂出市の中心街に7つと、市街地周辺にもこの大衆館のような映画館が7つもあったようですね。坂出市に合計14館も映画館があったなんて当時の映画は娯楽として必要とされてたんでしょう。そんなにあった映画館も当時の建物が残っているのは、この「大衆館」だけのようです。当時を伝える貴重な建物なんですね。
今では映画を観るには宇多津か綾川ですが、当時は映画館が身近なものとして身近なところに存在していたんですね。
謎が解けました。
どなたの所有か分かりませんが、中を見せて頂くチャンスがあれば、是非伺いたいです